ハチ目図鑑
 ハチ目は真完全変態(幼虫から蛹を経て成虫になる)をする昆虫のグループの一つで、膜翅目(まくしもく)とも呼ばれ、その種数は日本だけで約4,500種、世界中で約130,000種にも上る。翅が退化したアリ科の働き蟻、アリバチ科の雌などを除き、丈夫な膜状の4枚の翅を持ち、産卵管を毒針に変化させている種もいる(雄は毒針を持たない)。

 ハチ目全体としては単独性の生態を持つ種が多いが、私たちに馴染み深いミツバチ科、スズメバチ科、アリ科は真社会性の生態を持つ。真社会性とは、多数の不妊の個体がいて共同して子育て、防衛、餌集め等をして繁殖をする個体を助け、次世代が労働できるようになるまで共存するような生態を呼ぶ。ただし、真社会性であっても、スズメバチ科、アリ科のように、初めは1匹の女王と呼ばれる雌が巣作り、産卵、子育てをする時期があるものが多い。真社会性を持つ種の殆どは節足動物門に属し、ハチ目以外にはシロアリ目(科)の全て、アザミウマ目の一部、アブラムシ科の一部、テッポウエビ科の一部に見られるが、節足動物門とはかけ離れた脊椎動物門哺乳綱ネズミ目(齧歯目)のハダカデバネズミ等にも見られる。またハチ目には、ハナダカバチのように大きな群を作らず階層は分化しないが、親子が共存する亜社会性と呼ばれる生態を持つ種もいる。

 ハチ目の真社会性の種では、女王のみが産卵を専業とし、雄は女王との交尾のみを専業とする。交尾を終えた雄はすぐに死ぬため、女王は羽化後僅かな期間に複数の雄と交尾をして、精子を一生の間体内に保存することができる。しかも受精卵と未受精卵を分けて産卵することが可能であり、それぞれ雌と雄になる。また、受精卵から発生した幼虫に与える餌の成分(ミツバチの場合はローヤルゼリー)や量の違いにより、働き蜂(蟻)、女王蜂(蟻)等に分化する。

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