軍事施設化されたら!?

増え続ける基地面積と民間人の被害


パパママバイバイ
早乙女勝元 作 / 鈴木たくま 絵
日本図書センター 1,890円 1977年、厚木基地から離陸した米軍ファントムジェット機が横浜市の住宅街に墜落炎上して多くの民家を巻きこみ、幼い子供を含む民間人多数が犠牲になりました。駆けつけた自衛隊のヘリは、墜落前にパラシュートで脱出したほとんど無傷の米兵2名を乗せて厚木基地にむかってしまい、米軍、自衛隊とも民間人の救助活動は一切しませんでした。他にも平時における軍用機事故はたくさんあります。
 また米兵は戦争にそなえて、ためらわずに人を殺す訓練を受けているため、駐留地においても日常的に凶悪犯罪を犯すような精神状態に追いこまれています。1952年から2006年まで、在日米軍がおこした事件・事故は204,785件(1972年返還前の沖縄の分を除く)で、日本人1,081名の命が奪われています。1日10件以上の事件・事故をおこし、毎年20人が殺されていることになります。しかもそのほとんどは日本の法律で裁くことができず、在日米軍による強盗、強姦、傷害致死など、凶悪犯罪はことごとく不起訴になっています。
 さて、馬毛島で訓練をする艦載機はいったいどこへ行き、何をするのでしょう。沖縄や岩国の基地からはベトナム戦争やイラク戦争に出撃し、多くの民間人を伴う犠牲者をだしました。日本はベトナムやイラクから一度も攻撃を受けていないにもかかわらず、罪のない人たちが枯葉剤や劣化ウラン弾で犠牲になるのを後方支援していたことになります。今後も艦載機は空母とともに戦地へ出撃し、民間人を殺していくことは明白でしょう。日本はアメリカに守られているのではなく、逆に今後5年間で約1兆円という莫大な「思いやり予算」等でアメリカを支援し、人殺しに加担しているのです。
 一旦軍事施設化を認めてしまうと、米軍は次から次へと既成事実を積み重ねて基地拡大を要求し、日本政府もそれを容認する方向にむかいます。1980年代からは自衛隊との共同使用を口実に米軍基地化が進められ、面積はほぼ倍増しています。ソ連崩壊(1991年末)後も基地は拡大・強化され、東京のベッドタウンにあたる横田基地を初め、その多くが人口密集地にあるため、騒音・事故などの被害も深刻です。


危険満載の原子力空母(原爆数千発分)

 軍事施設化の大きな問題点として、原子力空母の危険性があげられます。実戦において原子力空母は戦場の近くに配備し、艦載機はそこから戦場にむかいます。アメリカの原子力空母エンタープライズ号がイラク、アフガニスタン戦争に参戦し、多くの民間人を伴う犠牲者をだしたことは記憶に新しいと思います。また原発の燃料はウラン235の含有率がわずか3%であるのに対し、原子力空母はウラン235の含有率が90%以上という、広島に落とされた原爆に匹敵する高濃縮ウランを使用しています。さらにアメリカ海軍のニミッツ級原子力空母は推定熱出力90万kW(原爆数千発分の死の灰を生み出す)、狭い船体内で炉心設計に余裕が少ない、放射能防護のための格納容器が存在しない、船の上でたえず振動衝撃にさらされるなど、原爆や原発よりはるかに危険であり、テロの対象にもなりえます。馬毛島に艦載機の訓練基地を認めることは、危険満載の原子力空母を認めることであり、岩国への原子力空母配備をも認めることになります。


馬毛島の生物
馬毛島の自然を守る会 作成

熊毛の宝“馬毛島”守ろう!

馬毛島、宝の島
馬毛島環境問題対策編集委員会 編著
南方新社 1,575円 基地があるということは、私たちが守られているのではなく、テロを含め、いろいろな危険を招きよせているということに気づかされます。国と国とのもめごとは、戦争によって決着をつけるのではなく、国連外交等によって平和的に解決することが重要ではないでしょうか。
 戦争はしかけたほうも、しかけられた方も、自然や人権(生命等)が大量に破壊されます。馬毛島に基地をつくらせないことは「地域エゴ」ではなく、全国どこでも共通の思いではないでしょうか。私たちは馬毛島を熊毛の宝として、戦争にかかわらせることなく守り続けていきたいと願っています。
 そのために私たちができることは何でしょう。タストン・エアポート社(馬毛島の地主)は馬毛島の森林の違法伐採をし、乱開発を強行しています。これらの違法行為を訴え、防衛省(国)が違法行為を承知でその土地を借りたり買ったりする違法の積み重ねに待ったをかけることも、私たちのできる一つの手段だと思います。残された魚付林とトビウオが産卵する海は熊毛の宝です。絶滅に近いマゲシカなどの野生生物を守り豊かな海を守るのは、熊毛の住民の切なる願いです。力を合わせてがんばりましょう。
 詳しくは次ページをご覧いただき、是非ご協力をお願いいたします。

文責:木下 大然


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(「馬毛島の違法工事差止め訴訟原告緊急募集」を含む)

馬毛島の自然を守る会・屋久島