ラサ・アプソ |
ラサ・アプソは古くからチベットで飼われてきた犬種で、ペキニーズやシーズーの先祖にあたります。チベットでは単にアプソ(チベット語で「毛深い」)と呼ばれていましたが、1928年英国貴族によってイギリスに持ち込まれた後、当時のチベットの首府ラサ(チベット語で「神の土地」)に因んだ名が付けられました。チベットではダライ・ラマ法王から遊牧民、乞食に至るまで、誰もが人の転生として大切に扱っていましたが、1949年以来中国によってチベットは侵略され続け、120万人ものチベット人が殺され、6千院以上あった寺院の99%が破壊され、同時に多くのラサ・アプソを含むチベットの犬たちが殺されました。1959年ダライ・ラマ法王14世がインドに亡命し、彼を慕って10万人以上のチベット人が亡命しました。今でも中国の迫害が続くチベットでは、チベット民族の尊厳である彼らの言語や文化を学ぶことができないため、年端もいかない子供たちが命懸けで標高6000m以上のヒマラヤを越えてインド、ネパール、ブータンに亡命しています。幸いにもラサ・アプソは、このようなチベットの状況を憂える欧米の人たちの間で、辛うじて血統が守られてきました。 ラサ・アプソは標準体重6〜7kg、標準体高25〜28cmの小型犬で、被毛はダブルコートで長いオーバーコート(上毛)が全身を包み込み、アンダーコート(下毛)は非常に密生しています。毛色は白、灰、黒、茶、ゴールド、クリームなど多様です。毛玉を取り、毛並を揃え、毛艶を出すためには毎日のブラッシング(ブラシですくこと)とコーミング(櫛ですくこと)が欠かせません。汚れは硬く絞ったタオルで拭き取るのが良いでしょう。比較的丈夫な犬種ですが、元々冷涼で乾燥したチベット高原(ラサの都で標高3650m、年間平均気温8.8℃)原産なので、高温多湿の日本の夏季は健康を損ねないように配慮してあげなければなりません。性格は日本犬に似たところがあり、警戒心が強い半面家族に対してはとても従順です。日本ではまだ馴染みの薄い犬種ですが、チベット民族が人の転生として大切にしてきたラサ・アプソを通して、チベット問題を考えていくきっかけにしていただければ幸いです。 |
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