はじめに
 エコツアーの基本は自然に対して負担をかけない旅であることです。また自然だけでなく、地域の文化にも敬意をはらいます。更に旅はその時だけでは終りません。その旅に参加することによって、参加者は自然の神秘さや不思議さに目をみはる感性「センス・オブ・ワンダー」を呼び起すことができ、日常生活に戻られてからも身近な自然の神秘さや不思議さに目をみはるようになるでしょう。

 まったく自然に対して負担をかけない旅は不可能です。私たちが参加者を送迎するのにも車を使いますし、その参加者は飛行機や大型客船で来島します。人間一人が一生の間に消費する酸素の何倍もの量を、この屋久島に来るだけで消費してしまうのです。

 だからこそ私たちは、参加者に「センス・オブ・ワンダー」を呼び起してほしいと願っています。その感性は、きっとその旅のマイナス面を補い上回るだけの価値があるでしょう。下にレイチェル・カーソン著「センス・オブ・ワンダー」からの一節を記しておきます。

 もしわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 新潮社より

 私たちは、参加者が屋久島にいらした時には羽を伸ばして思いきり自然と戯れていただき、そして日常生活に戻られてから、その中で自然に対して自分に何ができるか考え、行動していただきたいと願っています。

 「センス・オブ・ワンダー」を忘れない限り、旅はいつまでも続くでしょう。


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