1998年8月9日
新高塚小屋付近

 山歩きをしているとよくシカに出会います。全国的に言えることですが、人間が木を切ったりスギ、ヒノキの植林をしたりして自然のアンバランスを招いた結果、シカによる野生植物の食害、農作物の被害が深刻な問題となってきました。屋久島ではシカの食害により絶滅に瀕している野生植物もあり、民官学で議論を重ねた結果、緊急対策として狩猟圧を高める方針を立てました。それ以外にも長い目で見た今後の対策が望まれます。特に生息地管理には十分に力を注いでいくべきでしょう。

  ヤクシカ
Cervus nippon yakushimae
 ぐうてい
[偶蹄目シカ科]

分布:屋久島(固有亜種)
低地〜宮之浦岳山頂付近

 ニホンジカの亜種。本土のニホンジカより一回り小さい。成体の雄の角も小さく、本土のニホンジカが3回枝分れするのに対し、2回しか分れないことが多い。左の写真の雄は2歳くらいと思われる。成体になるには4年くらいかかる。

 ニホンジカは次の様に分類され、また分布している。

 この他にヤクシカの近縁と思われるシカが口永良部島に、マゲシカの近縁と思われるシカが種子島にいる。

 ニホンジカはヴュルム氷期(約7万年前から2万年前まで)、またはそれ以前に大陸から移入してきたもので、エゾシカはシベリヤからサハリンを経由して北海道に入り、その他のニホンジカは朝鮮半島から九州を経由して全国に分布したものと思われる。

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