WWFは1961年に設立された民間自然保護団体で、WWFインターナショナルを中心に、世界に各国委員会と提携団体があります。その一つWWF Japanは●南西諸島の自然やウェットランドを守る●日本各地の自然保護活動を支援する●野生生物を違法取引から守る●自然を守る法律や制度の整備を働きかける●自然保護の知識を広める●WWFインターナショナルを通じて世界の自然を守る、などの活動をしています。

 WWF Japanは1971年の創立以来、国内で自然保護活動を行っているグループや個人に助成金を交付し、その活動を支援しています。97年度までの助成は、延べ444件、約2億6千万円に達し、各地で成果を上げてきました。屋久島での助成事業は現在までに7つあります。

WWF Japanが助成した屋久島での自然保護事業

事業名 団体名
(代表者名)
実施時期 内容
屋久島での環境教育プロジェクト 屋久島研究自然教育グループ
(野間 直彦)
1998年度 屋久島では多くの研究者がさまざまな調査をおこなっているが、その成果はあまり地元の人たちに紹介されていない。一方、島民の主体的な意志によって自然保全と生活の振興が両立されるには、島民自身が屋久島の自然を深く理解していることが必要である。今回の活動では高校や公民館でのスライド講演会と自然観察会をおこない、研究者と地元の人たち、とくに若い世代同士の交流を深め、知識を共有し共に学ぶこと、人々のネットワークを広げることを目的としている。
屋久島における保護教育の実践的研究 足で歩く博物館を作る会
(手塚 賢至)
1995年4月 世界自然遺産登録後、屋久島への観光資本、観光客の流れが急増しており、環境破壊的な観光の防止が重要視されている。地元住民および島外からの観光客の参加による自然観察会やシンポジウムを、霊長類研究者など専門家の指導の下に開催し、エコツーリズムによる屋久島の将来・可能性を追求し、西部林道を中心とした屋久島西部地区を主な対象として、教材開発と野外博物館のための照葉樹林での自然観察や屋久島方式に基づくシンポジウムを実施し、屋久島における保護教育の実践的研究を進める。
屋久島上部域のヤクシマザルの垂直分布 龍谷大学
(好廣 眞一)
1995年4月

1996年3月
ヤクシマザルの集団の分析、個体群の特性、食性を調査し、植生帯との関連を分析するとともに、屋久島における人と野生動物の関係を考える。
屋久島のスギ植林地における森林性動物の生活様式の変容 屋久島自然保護計画
(大沢 秀行)
1994年4月

1996年
日本の森林の4割が人工針葉樹林である。こうした人工林化に伴い野生動物の生活様式は大きく撹乱されてきた。屋久島の森林の大部分は1960〜70年代にかけて伐採され、スギが植林された。その後、屋久島における主な森林性動物で、固有亜種であるヤクシマザルとヤクシカによる農作物被害が急増し、その対策として有害駆除を継続しているが、効果が上がっていない。人工林化が動物に与える影響を知ることは保護策を考える上で重要である。本計画は屋久島の自然林と植林地におけるヤクシカとヤクシマザルの生態を比較し、植林が野生動物に与える影響を把握する。その上で、屋久島の世界遺産地域の周辺にあり、緩衝地域として重要なスギ植林地の管理方法に関して野生動物の観点から提言を行なう。
ヤクザル保存のための国際協力 屋久島研究グループ
(東 滋)
1990年4月

1991年3月
ヤクザル(Macaca fuscata yakui)は屋久島に固有のニホンザル亜種であるが大規模森林伐採による森林破壊のために低地におり果樹園を荒らし始めた。このため鹿児島県によって捕殺許可が出されてから88年度までの10年間に3500頭以上が有害鳥獣として捕殺されてきた。その原因は果樹被害
屋久島のサルと人の共存をはかるための諸活動 屋久島を守る会

屋久島研究グループ
(兵頭 昌明)
1987年4月

1991年3月
ヤクザルは屋久島だけにすむニホンザルの亜種である。1960年以降の森林開発と、農業構造改善事業による果樹園地拡大によって、生息環境に大規模な変化が生じ、ヤクザルの害獣化が全島的に進行した。これに対して捕獲だけで解決をはかってきたため、ヤクザルの個体群維持は危ぶまれる状態になっている。加害群の出現状況、生態、被害の発生の経過、被害量の推移など多角的な調査を行い、捕殺によらない被害防除技術を検討し、島民とサルとの共存策をたてる。
屋久島の森林開発等の生物へのインパクト現状調査 屋久島研究グループ 1977年4月

1978年3月
ヤクシマザルの生活環境かつ食糧源である植生へ森林開発が与える影響の調査。

更新日:98/11/27
作成:WWF Japan
編集:木下 大然

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