第2回九州救助犬協会審査会
 3月12日(土)、13日(日)、熊本の川辺川河川敷(人吉警察犬訓練所専用グラウンド)に於て、第2回九州救助犬協会審査会が開催されました。12日は3チーム、13日は9チームが審査を受け、11チームが合格しました。審査員は人吉警察犬訓練所所長の開田宏氏、審査助手は同訓練所訓練士の松崎氏、ヘルパーは同訓練所関係者数名が務めました。

 審査は服従、瓦礫捜索、平地捜索の順に行われました。瓦礫捜索では3人、平地捜索では2人のヘルパーが隠れ、発見されたヘルパーは立ち上がって救助される形をとりました。犬が明らかにヘルパーを発見して執着し、ハンドラーがそれを見抜くことができれば吠えなくても良しとしました。制限時間は瓦礫、平地とも10分ですが、犬が意欲的に動いているのに捜しきれない場合には、審査員の判断により時間延長を認めました。立入禁止区域等の制限はなく、ハンドラー、犬共に自由に動けるような設定です。捜索においてはリード、モチベーター(ご褒美)の使用制限もありません。例えば平地ではテンションをあまり上げずオンリードのまま風下から捜索していき、犬の反応をみてリードを外すようなやり方でも構いません。開田氏はむしろ広範囲(長時間)の捜索に於てはそのようなやり方を推奨しています。このような審査会であれば、後で犬のリハビリ{審査会や実働でヘルパー(被災者、遭難者)が褒めてくれないと捜索意欲が萎えてしまうので、それを復帰させること等}をする必要が殆どないのが大きな利点だと思います。

 成績は100点を満点とし減点していく方式です。また点数によりA、B、Cランクに分け、AおよびBであれば救助犬として申し分ないレベルと見なされます。犬の動きだけでなく、ハンドラーの動き、犬の出し方、犬の反応の見方などで採点していきます。排便、排尿は、頻繁なマーキング等で捜索意欲が薄れていると見なされない限り減点なしです。大然&雁チームは服従A、瓦礫捜索A、平地捜索Bでした。瓦礫捜索では99.5点とほぼ満点に近い点数でしたが、平地捜索では犬に任せきりにしてハンドラーが後ろを追っていたら、犬が同じ所に何度も行ったり風上に行ったりして無駄な動きが多いということで減点されました。福岡のジョン・ペリー&武蔵チームにとってはこれが初めての審査会でしたが、意欲的に捜索して見事に合格し、すぐり、雁、サラダに次いで甲斐犬の救助犬第4号となりました。おめでとうございます。井澤&夏チームは見学だけのつもりで来たのですが、その場で練習したところしっかりとヘルパーを捜していたこともあり、松崎氏にも奨められて出場することになりました。結果は服従に関しては評価外、瓦礫捜索C、平地捜索Bで残念ながら不合格でした。しかし井澤個人としては得るものの多さに満足していました。審査を見るだけと実際に受けるのとでは、次回の審査に向けての意気込みも違ってくると思います。

服従の審査を受ける大然&雁チーム
 
瓦礫捜索の審査を受ける大然&雁チーム

 開田氏は「発見しても吠えてはいけない場合もある。オンリードでの捜索が必要な場合もある。捜索ではハンドラーが犬を見失ってはいけない。」という考え方です。それは以下のような体験に基づくものです。
開田氏談
 警察の依頼で自殺志願者を捜索した。犬はどんどん進み、小高い丘の上に登っていった。丘の上につくと、崖っぷちに膝を抱えてがたがた震えている人がいた。とっさに「犬が吠えて飛び降りられでもしたら大変」と判断し、即座に犬を呼び寄せて少しずつその人に近付き、「○○さん(自殺志願者の名)ですよね?」と確認して襟首を押さえ刑事を呼んだ。

 障害事件を起した犯人が隠れたということで、機動隊が100人体制で捜したが見つからず捜索の依頼が来た。救助犬を連れて現場についた時には既に4時間が経過していた。厳戒を要するということでオンリードのまま捜索に入ったところ、5分ほどで犬がマンションの下の隙間を気にし始めた。犬が奥に行きたがるので確認すると、凶器を持った犯人がそこにいた。もし犬をオフリードにしていたら、犯人に殺されていたかも知れない。

 今回救助犬に認定されたチームの中には、鹿児島県警の嘱託警察犬を30年以上も続けてこられ、数年前から鹿児島県曽於郡の消防組合と提携して救助犬による捜索活動をしている村上和喜氏と、井筒部屋出身の元関取で鹿児島の天文館でちゃんこ料理「源氏」を経営している前田安弘氏がいます。村上氏、前田氏はその人脈の広さを活かし、鹿児島に救助犬を広めるため尽力されています。

NPO法人九州救助犬協会
熊本県熊本市四万寄町452-6
TEL・FAX 096-352-9991
理事長:永野光哉(熊本日日新聞社名誉会長/熊本県体育協会会長/ホテル日航熊本代表取締役社長)
事務局長:日高隆雄(元熊本県警警察犬担当直轄官)

2004年4月発足
2004年6月26日(土)第1回審査会開催
2005年3月12日(土)、13日(日)第2回審査会開催

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