山口市での救助犬デモ
飛騨市での雪崩捜索訓練
福岡市での合同訓練
鹿児島での警察犬見学
 2月10日から3月4日まで、大然、香里、雁の2人と1匹で、救助犬の訓練を兼ねて旅をしてきました。この旅では救助犬、警察犬、介助犬の育成・普及活動に真剣に取り組んでいる多くの人たちに出会え、とても有意義な旅となりました。

2月10日
 貨物フェリーで屋久島から鹿児島市へ。
2月11日
 「NPO法人介助犬育成を目指す会」の主催によりハンドラー「木下大然」、ヘルパー「木下香里」、犬「雲居の雁」が招かれ、山口県セミナーパークにおいて救助犬デモンストレーションを行う。服従訓練やシーソー、梯子の上り下りを実演し、捜索では参加者に林の中に隠れてもらう。意識の高い防災関係者が集ったのでデモの後も2時間ほど熱心に講義を聞く。主催者の介助犬のハンドラーは、独学で介助犬の育成を学んだということだが、その介助犬(4歳ラブラドール・レトリーバー)は実によく訓練されていた。
   
2月12日
 岡山県井原市で訓練士をしている佐藤さんを訪ねる。
2月13日
 滋賀県栗東市で訓練。
2月14日
 長野県上伊那郡高遠町で捜索訓練。
2月15日〜18日
 新潟県西頚城郡能生町周辺で訓練。
2月18日〜20日
 「NPO法人全国災害救助犬協会」の主催により、飛騨市古川町数河において雪崩捜索を想定した冬季合宿訓練会が開催され、私たちも参加。
   
訓練開始   雪に穴を掘って人が隠れる   捜し当てて吠える雁

 雁に捜索させている時、捜す方向を手で合図していたら、ある参加者から「手や言葉を使わなくても、ハンドラーが犬に捜してほしい方向に歩くことで犬がそちらに向う。またハンドラーが動きを止めてはいけない。同じ場所に留まる場合であっても、その場で足踏みをして動いているように見せること。そうすることで犬が自主的に動くようになる。」と言われました。その人からはバークアラート(被災者を発見したら吠える方法)を残したリファインド(被災者を発見したら一旦ハンドラーの元に戻り、ハンドラーを被災者の元に導く方法)の訓練も教わりました 。

バークアラートを残したリファインドの訓練
 ヘルパーは普通のご褒美1個と最上のご褒美数個を持ち簡単な場所に隠れる。次にハンドラーが犬に捜索コマンドをかけ、犬がヘルパーを探し出して吠えたらヘルパーは何も言わずに普通のご褒美1個を与える。その直後にハンドラーは犬を呼び戻し、再度捜索コマンドをかけるが、このコマンドは初めにかけたものとは違う新たな言葉を使う。その直後にヘルパーは犬を呼び込み、ハンドラーは犬の後を追い掛ける。犬がヘルパーの元に来たら、ヘルパーは思いきり褒めて最上のご褒美数回を与える。普通のご褒美、ハンドラーの呼び戻し、ヘルパーの呼び込みは上達とともに省いていき、隠れる場所も徐々に難しくしていく。

2月22日
 福岡市のペリーさんご夫妻、武蔵(たけぞう)君と合同訓練。武蔵君はまた一段とレベルアップしていた。市内のペット同伴可のレストランで一緒に昼食をとり、夜はペリーさん宅に泊めていただく。
2月23日
 鹿児島市本名町の(社)日本警察犬協会鹿児島支部支部長の坂元さん宅を訪問。宮崎県宮崎市の警察犬審査員であり、ドイツボクサーの名門犬舎でもある石原先生を紹介していただき、ボクサーの子犬を譲り受けることになる。
2月24日
 午前中、鹿児島市で警察犬審査会を見学。午後は雨で中止となる。警察犬関係者数名に雁の捜索訓練を見ていただく。宮崎市の石原先生宅を訪問し、譲り受ける予定のボクサーの子と両親を見せていただく。
   
子犬「レン」   母犬「エミリ」   父犬「クロード」

2月26日〜27日

 曽於郡有明町の警察犬協会鹿児島支部幹事長の村上さん宅を訪問。警察犬の訓練を見学し、救助犬の合同訓練をする。右の写真は臭気選別訓練中の村上さんのジャーマン・シェパード・ドッグ。村上さんは独学で犬の訓練を学び、たくさんの警察犬を作り上げてきた。2000年5月に屋久島で開催された世界遺産会議の際には、警察犬を伴って皇太子殿下・妃殿下の警護にあたる。

↓村上さんの本業

(有)有明ファーム
 

2月27日
 加治木駅で香里と別れる。
2月28日〜3月1日
 富山の救助犬審査会で知り合った大分県大分郡湯布院町の和喜さん宅を訪問。和喜さんの家には救助犬等の訓練をしている犬だけでなく、拾われてきた犬や猫たちもたくさんいて、広大な敷地でのびのびと飼われている。和喜さんから熊本県球磨郡相良村の人吉警察犬訓練所の開田宏先生を紹介していただく。
 

3月2日
 開田先生を訪問。助手の松崎さんと共に、懇切丁寧に訓練指導をしていただく。3月12日、13日にこちらで開催される、第2回九州救助犬協会認定審査会の出場を申し込む。福岡のジョン・ペリーさんも誘ったところ、是非出場したいとのことだったので、同時に申し込む。審査員は開田先生。
3月3日〜4日
 貨物フェリーで鹿児島市から屋久島へ。

 今回の旅では、警察犬関係者から得たものが非常に大きかったです。警察犬を育成している民間の人たちはボランティア精神旺盛で、救助犬についても理解がありました。開田先生は1頭の犬に多科目を教えている訓練士です。私が「足跡追求の犬に救助犬の訓練を入れたら、浮遊臭を取るくせがついてしまいだめになるのでは?」と訊ねたら、「全く別のコマンドを使うことと、足跡追求の訓練では物品を探すだけに留め、最終地点には人を置かないようにすることで両立できる。そうして作り上げた犬は競技会では多少劣るとも、実働ではずっと役に立つ。」ということでした。

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