救助犬について

 救助犬はその鋭い嗅覚を使い、災害現場で瓦礫や倒壊家屋の下に埋もれた生存者を捜したり、山岳遭難などの行方不明者を捜す犬たちです。災害(遭難)現場で生存者のにおいを捜しまわり、においをかぎつけたら大きな声で吠えて指導手に知らせます。日本では、阪神・淡路大震災で一躍脚光を浴び、その後のトルコ大地震、台湾中部大地震、アメリカ同時多発テロ事件でもその活躍ぶりがマスコミに紹介され、働く犬としてすっかりなじみ深い存在になりました。

においのとり方(地鼻と高鼻)
 地鼻は特定の人のにおいを覚えさせ、そのにおいをたどりながら追跡するもので、足跡追求またはトラッキングと呼ばれています。容疑者を追跡するための警察犬は地鼻を使います。それに対し高鼻は風で流れてくる浮遊臭をたどって一点を捜し当てるもので、エアーセンティングと呼ばれています。救助犬は主に高鼻を使って不特定多数の人のにおいに反応するように訓練されています。

向き不向き
 災害、遭難はいつ、どこで発生するか分りません。救助犬はどんな時でも指導手の指示に従って、捜索の仕事をきちんとこなせる犬でなければなりません。救助犬に適しているのは、他の人や犬に対して友好的で、なおかつ大胆で行動力のある賢い犬です。臆病な犬は救助犬には向きません。自分から積極的に動きまわる行動力は、捜索を仕事とする犬には欠かせない要素です。このような条件さえ満たしていれば、救助犬は犬種を問われることはありません。

救助犬先進地スイスにおける救助犬になるための3つの基準
1.瓦礫の下に埋まっている人間のにおいをかぎわけて、根気よく、また集中して捜索しなければならない。
2.さまざまな障害や誘惑に気をそらすことなく、困難に打ち克たなければならない。
3.瓦礫の奥深くから発するあらゆる臭気の中から、人間のにおいだけを識別し、その場所を人に知らせなければならない。

活動、出動
 試験に合格した指導手と犬は、もしもの時に備えています。しかし、その活動には大きな負担がかかります。出動の交通費、そのほかの必要経費はすべて協会あるいは個人が負担している状況です。出動に関しては、行政とのスムーズな連携も今後の課題でしょう。

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