朝日新聞 2016年(平成28年)9月6日 火曜日 1面
川内原発即時停止応ぜず
九電 鹿児島知事、再要請へ

 九州電力は5日、鹿児島県の三反園訓知事から受けた川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の停止要請への対応方針を回答した。「直ちに停止」には応じず、10月以降の定期検査入りまで計画通り稼働させる。三反園知事は「極めて遺憾」と批判し、週内に再度、停止を要請する方針を固めた。

▼3面=九電 妥協探る、32面=批判と安堵

 九電の瓜生道明社長が5日、鹿児島県庁で三反園知事に回答書を手渡した。停止には応じないが、熊本地震を受け、定期検査とは別に追加の「特別点検」を進めることや、避難計画見直しの支援、災害時の情報発信の強他を盛り込んだ。
 瓜生社長は三反園知事に「知事の要請を重く受け止め、県民の皆様の不安を軽減する新たな対策を取りたい」と述べた。一方、知事が求めた原発周辺の活断層の調査には応じない。
 これに対し、三反園知事は「私は原発をいったん停止して再点検すべきだと強く要請した。この回答書は極めて遺憾だ。原発が安全だという意識を捨てていただきたい」と述べた。
 三反園知事は熊本地震を受けて県民の不安の声が高まっているとして、8月26日に九電に対し、川内原発を「直ちに停止」して安全性を再検証するよう要請した。だが、九電は電力供給や経営の安定に原発が不可欠との立場。知事に原発を止める法的な権限がないことなどを踏まえ、停止要請を拒む方針を固めていた。
 川内原発は三反園知事の要請にかかわらず、10月以降に法律に基づく定期検査に入る予定。九電は5日、1号機で10月6日から定期検査に入ると原子力規制委員会に申請した。2号機も12月16日から検査入りする計画だ。

写真=三反園訓・鹿児島県知事(右)に川内原発の停止要請に対する回答書を手渡す瓜生道明・九電社長=5日午前11時4分、鹿児島市の県庁、長沢幹域撮影



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