讀賣新聞 2016年(平成28年)8月20日 土曜日 32面
原発事故避難の不安訴え
薩摩川内など知事視察で住民ら
 三反園知事が19日、就任後初めて行った九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)周辺の視察。面談した地元住民たちは、原発で事故が起きた場合の避難について、道幅が狭いことなど様々な不安を訴えた。
 知事は同日午前6時半頃から午後7時半頃にかけて、川内原発周辺の薩摩川内市、いちき串木野市の集会所、福祉施設などを巡り、住民と意見を交わした。
 川内原発の東側約5キロに位置する薩摩川内市峰山地区コミュニティセンターでは、徳田勝章・コミュニティ協議会会長(78)が「道幅が狭くて大型車が行き交うことが難しい。しっかり対応してほしい」と要望。
 同センター近くの高齢者福祉施設「わかまつ園」の浜田時久園長(66)は「施設に車両は15台ある。しかし、夜間は職員が少なくて、急には(避難のための)運転要員を確保できない。市や県に応援を求めたい」と話した。
 川内原発の北東約5キロの同市立水引小では、佐藤喜八郎校長(58)が避難態勢について、「学校の体育館に子どもたちに集まってもらい、保護者に迎えに来てもらう。迎えが遅れた場合はパスを使う」と説明。知事は、避難訓練を繰り返し行うことの必要性を強調した。
 事故時の屋内退避施設になっている同校近くの水引地区コミュニティセンター。放射性物質を防ぐ鉛製の防護扉について、同行の県職員が「市職員が閉めることになっている」と説明すると、知事は「住民も使えるように訓練しておかないといけない」と語気を強めた。
 知事は、今月下旬にも九電側に川内原発の一時停止と再点検を要請する方針で、視察はその参考にする目的。視察後、「いろんな人の生の声を現場で聞くことができた。今後に生かしたい」と語った。

写真:水引小学校で佐藤校長の話を聞く三田園知事



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