西日本新聞 2016年(平成28年)8月20日 土曜日 37面
三反園知事川内を視察
原発避難計画見直し言及
 九州電力に川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の一時停止を要請する方針の同県の三反園訓知事が19日、同原発周辺の避難道路や福祉施設を視察した。地元自治会や施設関係者と意見交換した知事は報道陣の取材に「不安の声が多く寄せられた。九電はいったん停止し、再点検して住民の不安に応えるべきじゃないか」と一時停止の必要性を強調した。
 三反園知事は避難道路の狭さや車両の確保など課題は多いとして避難計画の見直しにも言及。「住民の安全安心に応えるために全力で取り組む」と述べた。九電に事故時の迅速な情報提供を求める考えも示した。
 知事は原発5キロ圏の小中学校や放射線防護施設などで避難態勢を確認。原発敷地内は視察しなかった。
 今回の視察結果を踏まえ、8月下旬から9月上旬に九電に一時停止や再点検を要請する考え。(一ノ宮史成)

地元受け止め好意的「停止は不要」の声も
 川内原発周辺を19日に視察した鹿児島県の三反園訓知事。地元住民や福祉施設は視察を好意的に受け止め、避難道路整備や避難計画の充実を求めた。ただ知事が視察結果を九電への停止要請にどのように反映させるかは不明で、「停止は不要」とする住民もいた。
 「避難計画の課題は何ですか」。三反園知事は住民と精力的にやりとりした。知事が川内原発周辺を視察するのは初めてで、原発から5キロにある高齢者福祉施設の浜田時久園長(66)は「ありがたい。現場の状況を理解してもらうのは貴重なこと」と評価した。
 原発から約11キロ離れた地区の田島俊一さん(71)は「避難先が遠く分かりにくい。高齢者は夜間の自家用車での非難は難しいと課題を挙げる一方で」、「この地区では原発に賛成も反対もない」と付け加えた。
 原発5キロ圏に住む徳田勝章さん(78)は新たな避難ルートとして林道の拡幅を注文。原発停止については「10月に定期点検に入り、止まるので必要ない。それよりも知事は検討中に3、4回(原発敷地内に)立ち入り、どういう状況だったかを県民に情報発信してほしい」と提言した。
 三反園知事は停止要請の時期は明言せず、「申し入れ文書(の内容)を詰めたい」と述べるに留めた。(上野和重)

写真:地元自治会長(左)から原発周辺の林道拡幅について要望を受け、地図を確認する三反園知事=19日、鹿児島県薩摩川内市



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