西日本新聞 2016年(平成28年)7月29日 金曜日 34面
川内停止9月までに要請
鹿児島知事に三反園氏就任
 鹿児島県の三反園訓知事は28日、初登庁した。就任記者会見で、全国で唯一稼働する九州電力川内原発(同県薩摩川内市)について、熊本地震で県民の不安が高まっているとして、一時停止して点検することを8月下旬から9月上旬に九電に要請する考えを正式に表明した。知事選の公約に掲げていた。
 原則40年と定めた原発の運転期間を「基本だ」とし、延長に否定的な考えを示した。川内1号機が8年後、2号機が9年後に運転開始40年となる。伊藤祐一郎前知事は延長を容認する考えを示していた。九電が計画する3号機増設に関しても「客観的情勢から難しい」と語った。
 川内原発の今後のあり方について、廃炉も含めて議論する考えも表明。原発の賛否両派を交えた原子力問題検討委員会を設置することを公約にしており、検討委で議論するとしている。(湯之前八州、上野和重)

脱原発具体策乏しく
 「原発に頼らない社会が柱」「自然再生エネルギーに転換させる」…。鹿児島県の三反園訓知事は28日、初の記者会見で時折声をうわずらせ、「脱原発」の公約実現に意欲を見せた。ただ、手順や時期をめぐっては「今後、事務方と調整する」「これから考え方をまとめたい」と述べるにとどまり、具体的な計画は示さないまま。知事選で支援した反原発派の市民には、期待と不安が交錯した。「8月下旬にも、熊本地震を受けた川内原発の一時停止と点検を九電に要請する」「(原発への)県民の不安に応えるのがトップの役割」。三反園知事は決意の言葉を続けた。
 ところが「原子力問題検討委員会の設置時期」など具体策を聞く質問には「一番良い方法を取りたい」などと一転してあいまいな表現に。昨年末の出馬表明から半年以上過ぎても考えがまとまらないことに関して「(原発について)これまでのいろんな合意事項がある。知事になって、初めてそれを職員に聞ける。その中でまとめるのが責任」と述べた。
 知事選で、三反園知事と一時停止要請などで政策合意し、候補一本化のため出馬を見送った反原発団体代表、平良行雄さん(56)=鹿児島市=は「具体策が少ないのは気になる。公約を守るように知事に働き掛けを強めたい」。別の反原発団体メンバーの松尾晴代さん(42)=同県姶良市=は「初めから百点満点は難しい。しばらくは姿勢を見守りたい」と語った。(湯之前八州、一ノ宮史成)

写真:就任後初めての記者会見に臨む三反園訓鹿児島県知事=28日午前11時すぎ、鹿児島県庁(撮影・金子晋輔)



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