南日本新聞 2016年(平成28年)7月11日 月曜日 18面
三反園氏 九電に一時停止要請へ
地震踏まえ、時期未定
 鹿児島県知事選で初当選した三反園訓氏(58)は10日、国内で唯一稼働中の九州電力川内原発(薩摩川内市)について、選挙戦で主張していた一時運転停止と点検実現のため、九電に申し入れる考えを示した。時期は明らかにしなかった。鹿児島市の事務所で報道陣に答えた。
 ただ、県知事に原発を止める法的権限はなく、今後、申し入れを受け九電や国がどう対応するかが焦点になる。再稼働に同意した薩摩川内市との話し合いも必要になりそうだ。
 熊本地震を踏まえた一時停止と点検について、三反園氏は「どうすれば一番いいか、いろんな方と相談して決める。方針は決まっているので、その実現のためにいろんなことを検討する」と述べた。
 三反園氏は当選が確実となった後のインタビューで、「ドイツを参考にして鹿児島を自然再生エネルギー県に変身させ、雇用を生み出す」と脱原発の考えを強調。活断層や避難計画の再検証の必要性にも言及し、「県民の不安に応えるためには、正確でタイムリーな情報を発信することが一番大事」と語った。
 事務所には、告示直前に出馬を断念し候補一本化に協力した平良行雄氏ら、反原発団体メンバーも複数姿を見せた。三反園氏を直接祝うとともに、事前に両陣営が結んだ合意文書にある「検討委員会の設置」を必ず実現するよう、くぎを刺す一幕もあった。
 ただ、三反園氏は、原発の即時廃止は難しいとの立場。今回の知事選で支持した人の中には、即廃炉を求めている人から、稼働は必要と考える人まで幅広くおり、今後、原発政策で難しいかじ取りが予想される。川内原発の再稼働を巡っては、伊藤祐一郎知事が2014年11月に再稼働に同意し、1号機が15年8月、2号機が同10月に再稼働した。1号機は今年10月、2号機は同12月に定期検査に入る予定。
 敗れた伊藤氏は今回の選挙で川内原発について、「何より安全性を重視」とした上で、停止は必要ないとの立場をとった。経済性の観点から今後30年は運転させ、その間に代替エネルギーを確保すべきとも主張していた。(赤間早也香)



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