屋久町民報
No.6 03.02.23
屋久町民報社
屋久町安房平野
TEL・FAX 0997-46-3830
 
どんな町にするのか 決めるのは「町民の合意」
十分な説明もせず、急ぐべきではありません!

 説明不足のままでのアンケート調査の結果は、法定協議会の設置の根拠にはなりません。
 両町の任意の合併協議会は、法定の協議会に進むべきかどうかのアンケート調査を実施しました。
 ところが、町民の多くは、「合併した方がいいのかどうか良く分らない」というのが、本当ではないでしょうか。
 協議会の各集落での説明会では「説明を聞いてもよく分らない」という声が多く、しかも参加したのは、屋久町の場合わずかに356人(有権者の6.2%)でした。
 このような状態で、「法定協議会を作るべきか」とのアンケートは急ぎすぎで、法定協議会を設置する根拠にすべきではありません。
 両町長は合併するかどうかを決めるのは「町民の合意」なのだと言って来たのですから、町民が理解できるように、時間をかけて住民への説明をするべきです。

 法定協議会は、「合併する」ための組織
 任意の協議会と違って、「法定合併協議会」は、合併することを前提にした組織です。
 新しい役場をどこに置くか、新しい町の名前を何にするか、合併後の町の振興計画をどうするのか等を決める組織です。
 新しい役所の位置などが不満なら途中で抜けることもできますが、合併が前提の組織です。

 配られているパンフレットは、まさに「合併推進」のためのもの
 合併について考えてもらうために配布したパンフレットは、「合併しないとやってゆけないぞ」と思わせるものになっています。
 町の財政が厳しくなっていることは両町とも同じ状況です。
 ところが、パンフでは合併が始まるという平成17年から、国から来る地方交付税が、6年かけて20%も減ることを見込んで計算してあり、「両町とも赤字がこんなに増える」「町の運営は成り立たなくなる」と説明してあります(20%減るというのは、小泉内閣の計画で国会で決ったことではありません)。
 その一方で、「合併したら、こんなに国の財政的な援助がある、今合併に踏み切らなければこの援助はもらえない」とアメをみせつけているものです。
 しかも、このパンフレットの内容の多くは、協議会が作ったのではなく、県の意向を受けた民間会社が作っていることがはっきりしました。
 1月13日開かれた、合併問題のシンポジュームで、協議会の委員は、「私達には、パンフを作る時間もない。鹿児島総研に頼んだ」と答弁しました。
 県は国のいうまま、屋久島の合併を最重点にして、町民の理解や合意が不十分でも、強引に合併を進めているのです。
 国会では、「合併は押しつけないで、自主性を尊重するように」という決議を何度もしています。

 合併しないでやってゆく場合の説明も必要では?
 全国の市町村でも、任意合併協議会すら作っていないところが半分を越えており、全国の2000程度の自治体は、今回合併をしないだろうと見込まれています。
 合併をしなさいと町民をせきたてる県のいいなりではなく、町の責任で、「合併しない場合は、こんな財政的な困難がある、しかし、こんな点は知恵をだし工夫することによって良い町作りができる、役場内では、こんな所を変えればもっと良くなる」等の選択も考えられるような説明材料も必要ではないでしょうか。

国、県が合併を押しつけてきているのは何故か?

 合併で町村への地方交付税(金)を五兆円減らすのが最大のねらい
 なぜ急に市町村合併の話が出てきたのでしょうか。
 この背景を知らないと、小泉内閣が進めている合併のねらいも将来どうなるかの見通しもつけられなくなります。
 政府は、地方交付税(交付金)会計の借金が44兆円にもなったため市町村を合併させ、年間約22兆円の交付税額を5兆円減らしてゆくことを計画しています。
 今の地方交付税制度は税収入の少ない田舎の町でも憲法の考えを貫くために、基本的な行政サービスは平等に受けられるように、法律で定めてあるものです。
 国の交付税の会計の赤字を解消することも必要ですが、それを解決する場合でも、地方の財源の確保が大事であることは言うまでもありません。
 全国の町村長会でも町村議長会でも、「地方交付税制度の、財源が少ない町でも憲法で定めてある基本的な教育や福祉のサービスができるように交付金を支給する機能と、小さな町村の財政を援助する財政調整の機能は、絶対に残すべきだ」と意見を国に上げているのです。
 財源のとぼしい町村に、国からの交付税を減らし、国の支出金を減らしていじめては、地方の住民が被害に会うだけです。
 自民党政府の財政運営の失敗のつけを市町村に押しつけるのではなく、ムダな公共事業や防衛費などのムダを減らせば、財源は生まれます。

 合併の押しつけをはねのけ独自に町作りに取り組む自治体も
 全国では、市町村合併に迷っているどころか、人口は少なくても、役場の職員と町民が知恵を出して誇りの持てる町づくりをしている長野県の栄村等、たくさんあります。
 また、長野県の田中知事は、はじめは合併推進の立場でしたが、町長、村長さん達とよく話し合う中で、「合併の強制はしない」「合併をしない自治体も支援する」ことを発表して、小さな自治体を励ましています。
 鹿児島県は、国の言いなりに合併を押しつけていますが、大変な違いです。

 町民がよく理解して「合併した方がよい」「合併しないでがんばるべき」の選択ができるように
 合併すれば、特別な支援をすると決めている「合併特例法」は、平成17年が期限。政府は延長しないと言っています。だから、今年の5月頃までが、合併を決める期限だと、急がせています。
 一方、全国の町村長さん達は、「合併の押しつけ反対」「地方交付税をけずるな」「特例法を延長せよ」と要求しています。
 強引に合併を迫り、何が地方分権かと言いたくなる状況ですが、「町民の合意」が方向を決めるのですから、町民が「合併するのか、しないのか」の判断ができるように、十分な説明と時間が必要ではないでしょうか。十分な説明もせず、急ぐべきではありません。「原点に帰って」町民と共に。

中種子町長の議会での発言(9月議会)

 「私は総務省にいってやったんですよ。『あんたたちはね、地方の自治体に交付税を付けるから公共工事をやれ、公共工事をやれと指導した。ところが、自治体はみんな大きな借金を抱え込んでしまった。そこにきて、合併しろといっている。なんて言うことだ』と。

屋久町民の声より

 ☆合併の良いこと、悪いことを、正確に住民に知らせることが必要と思う。何も分らずに、期限だけにせかされるのは、おかしいと思う。

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