屋久町民報
No.4 03.01.15
屋久町民報社
屋久町安房平野
TEL・FAX 0997-46-3830
木下しのぶの町政リポートNo.4  国民宿舎の建て替え問題
議会は「大型ホテル」建設へ町長の背中を押すだけか
 屋久町民報が「議会が百室の大型ホテル建設を促進する意見書を採択し、町長に実現をせまる」と報道したことに対し、町民の間で議論が起きています。
 議会が百室と決めたのは理解不足でなく事実
 町議会は年末の議会だよりで、「議会での議論などをよく理解していただけない中で、私たちの思いとは違うところで批判や意見が出てきています。」と前書きをつけ、ホテル問題での特別委員会の「中間報告」と「最終報告」を掲載しています。
 しかし、「施設規模については、調査を行ってきた百室を基本とする」と最終報告しているのは事実です。
 改めて町民のみんさんと一緒に、「中間報告」と「最終報告」をしっかり読み直してみましょう。
 議会はどんな調査をして百室と決めたか?
 最終報告では「調査を行ってきた百室を基本とする」となっていますが、中間報告をみてもどんな調査をしたら百室という結論になったのか分りません。ただ分るのは、第一に徳島の「ホテル・リビエラししくい」に町民の税金を使って視察に行ったということ、第二に「ホテル・リビエラししくい」は27億円かけてつくったが、十分な調査もなく、プロに相談しなかったため、中途半端なものになったこと、第三に地元業者(旅館・ホテル)と協調したため規模が小さくなり、採算がとれず、累積赤字が3億4千3百万円になったと報告しているだけです。どこにも「百室のホテル」などと書いてありません。また、百室のホテル建設に費用がいくらかかり、月々の運営費がどれだけ必要で、宿泊客は月平均何人で、どれくらい収益があるのか、借金返済はどうするのかなどの根拠も示していません。
 三菱総研の調査だけ、無責任な大型ホテルの促進
 「中間報告」では、「三菱総研の事業可能性調査のとりあつかいについて、私たちは議論のたたき台としての資料であり、私たちの議論を何ら拘束するものではないという理解をいただきたい」とわざわざ述べています。
 しかし、三菱総研の調査、計画の他に、「百室のホテルがよい」との結論が出てくる根拠となるものは見当たりません。
 最終報告は、「事業意義を最大限具体化」、「運営はプロにまかせ、民間のノウハウを十分活用」、「第三セクターも含め、財政への影響が最小でかつ最大の効果を発揮できるもの」、「他への財政依存をせず、完全独立採算制で」などと、難しい言葉で色々な条件をつけています。しかし、議会の報告に基づいて町長が百室の大型ホテルをつくり、大きな借金が残ったら、だれが責任を取るのでしょうか。
 最終報告は、町民の批判の前に立ち止まっている町長に、「百室でやれ」と背中を押す役割を果しています。
 チェック機能果さない議会
 特に重要なことは、「ホテル・リビエラししくい」の調査から、事実上「地元業者と協調して規模を小さくしたら赤字になる、百室でいけ」と町長に迫っていることです。議会は業者や町民の声をよく聞き、町政を監視する機関であるべきですが、これではチェックする議会の役割を果していません。
 
町長と議会は、町に大きな借金をつくる恐れのある大型ホテルを夢見るのはやめて
町民の声を聞き、
町民が気軽に利用できる温泉・宿泊・集会施設の建設を!
 議会の決定に批判続出
 屋久町民報社が行った町政アンケートの中で、町議会が百室のホテル建設を決めたことついては、右のグラフのように圧倒的に議会の決定について納得できないという声が寄せられました。
 議会の決定を「いいことを決めた」と評価する声はわずか17人に1人でした。その他、「国民宿舎ならいい」、「クアハウスにしてほしい」、「後のことも考えて金を使え」、「つくらないでいい」、「第三セクターには反対」、「尾之間のためのものではない」、「他の宿泊施設を圧迫する」、「100人収容ではないのか」、「福祉・健康センターに」、「住民のアイディアをつのれ」といった声が寄せられました。
 住民が気軽に利用できる施設を望む町民が多数
 国民宿舎の跡地利用については右のグラフのような結果になりました。
 「供給による需要の喚起」の誤り
 議会の特別委員会は、大型ホテル建設の理由に「供給による需要の喚起」と言っていますが、「大型のホテルをつくれば客がくる」──これが百室推進派の言う「供給による需要の喚起」の考えです。これはバブルの頃よく言われた言葉で、例えば大型の港をつくれば大型客船がくるとか、ビルを建てれば入居者で町がにぎわうとか、工業団地をつくれば工場がくるという考えです。もうすでに破綻しています。
 国民宿舎は黒字だった。温泉・宿泊・集会施設に
 国民宿舎は永い間、町民に気軽に利用されてきました。閉館前は雨もりするほど傷んでいましたが、それでも経営は黒字でした。
 将来に大きな負債を残す恐れのある大型ホテルではなく、尾之間の人々や多くの町民が願っている、温泉を利用した保養、宿泊施設として、さらに地域住民が気軽に利用できる集会施設として、再建を急ぐべきではないでしょうか。
 南種子町の河内温泉センターは、種子島中から入浴客が集まり好評だと聞きます。失敗の経験から学ぶことも大事ですが、よい仕事をしている町に学ことが大事では。(木下しのぶさんの談話)
 
 町民一人あたり約114万円と郡内で一番借金の多い屋久町で、無謀とも思える百室の大型ホテルを建設しようとして右往左往している間に、時間はどんどん過ぎています。
 国民宿舎の閉鎖は早くから分っていたことで、町長も議会ももっと早くから取り組み、14年には完成しているべきものだったのではないでしょうか。素晴しい自然という財産を活かして、福祉の行き届いた、町民が豊かに暮せる町づくりをすすめてほしいものです。(編集部)

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