屋久町民報
No.2 02.12.07
屋久町民報社
屋久町安房平野
TEL・FAX 0997-46-3830
南部林道   「自然破壊だ、ムダだ」という町民の声と県評価委員会の報告を受け路線を変更
変更計画でも大変!大胆な見直しか?中止か?皆さんのご意見を
 
 高すぎる林道、無残な山肌、自然破壊に批判の声
 広域南部林道(小島−中間間18.5Km)は、総工費42億円、平成4年起工、平成14年完成の予定の工事。しかし、着工から10年で出来た道路は小島から3.1q、湯泊から1.1q、中間から1.7qの合計5.9q。約3割。既に約20億円を支出。(平成13年に予算を61億円に、完成を20年に変更)
 平成5年に世界遺産に登録され、中間や小島の山肌が剥き出しになった光景を見た町民や観光客、水涸れや土石流を心配する町民などから、「自然破壊だ。イメージダウンになる。あんな高い林道をだれが利用するのか。希少植物が危ない。海が汚染される。水源が涸れる。」などの批判が県や町によせられました。
 鹿児島県事業評価監視委員会(各分野の学者・研究者の組織)が
 平成11年「環境や景観への影響に配慮する」
 平成14年「当初計画より下げた線型とする」
事を報告
 平成11年3月に県知事への鹿児島県事業評価監視委員会による南部林道の審査報告は、1.環境や景観の影響に配慮すること、2.毎年の施工方法を検討すること、3.林道の積極的な活用促進をはかること、4.予測できない事態が生じたときは、改めて委員会にはかるなどして対応すること、の4点。
 平成13年5月の報告は、1.環境や景観への影響に配慮し当初計画より下げた線形とする、2.郷土種の種子を使用した法面緑化箇所の植生追跡調査を行うこと、をあらたに追加した。町民の批判の声に応えた形での答申であった。
 県、約200m下げる道路計画に変更
 県は、最初の林道計画の一番高い所を約200m下げる道路計画(下図)に変更、15年度から工事を予定。しかし、図上の線形を見ると、これまで作った高い所の道路と結ぶため、中間と小島から次第に高度を下げているが、引き続きで崖を削る工事。再び、湯泊の高さ約350m地点に向かってのぼるなど、上り下りの多い変な林道になっています。中間と湯泊、小島では、山肌を剥き出しにした工法がさらに続けられ、崖の崩落の危険箇所をともなった道路となります。
 維持管理に莫大な町費、平成13年既に200万円余の出費
 変更した計画でも、急な崖を削って作る無理な道路計画のため、崖崩れ、土石流の発生が予想されます。すでに平成13年は災害復旧に約1900万円の費用がかかり、その内約200万円は、町の持ち出し。林道の建設費は国と県がもちますが完成した所から管理は町に移ります。災害があれば、町の出費が必要です。大きな災害になれば将来、町の財政に大きな負担となります。
 大胆な見直しか、中止か、今が大事な時
 県の変更計画に基づいて工事を進めれば、大変な自然破壊とムダになります。「さらに大胆に見直し、完成した高い地点につなぐのではなく、起点から終点まで全て200m以下の道路にすれば自然破壊も少なく、突っ込み線を整備すれば杉林の管理や伐採、搬出にも使える。」という声もあります。
 一方、「林業は成り立たない。税金の無駄づかいだ。自然破壊に変りない。中止すべきだ。」という声もあります。将来の屋久町をどんな町にするのか、今が大事な時です。林道の近くに湯川の滝があり、広がる照葉樹林帯の中に樹齢数百年のサルスベリや絶滅危惧種のヤクタネゴヨウなど、希少植物が群生しています。すばらしい自然は屋久町の財産です。まず町民のみなさんが、一人でも多く現場を見て、考えていただきたいと思います。そして声を上げていきましょう。
南部林道計画図
 
木下しのぶの町政リポートNo.2
尾之間の区民は低価格での宿泊、結婚式、温泉など願っているのに
議会が区民の願いと異なる百室のホテル建設促進を決める

 6月議会で特別委員会の報告を受け、同趣旨の意見書採択
 「施設規模は……百室を基本とすること」という意見書を異議なし、全員賛成で決めたのは事実
 「屋久町民報」創刊号の「木下しのぶの町政リポート1」は、「6月議会で、国民宿舎の跡地の利用について検討してきた『地域活性化対策特別委員会』が、「施設規模は……百室を基本とすること」と提案したのに対し、議会は全員一致で決めた」と報道しました。それに対し議員の中から、「まだ決めていない」との口コミが行われています。
 町民から「どちらが本当か」と質問がよせられました。「6月議会でのホテル建設に関する地域活性化対策調査特別委員長の報告を受け、同内容の意見書を決定する時の議会の様子」を報告致します(議事録から一部抜粋)。
 議長 最後に、地域活性化対策調査特別委員長の報告を求めます。
 特別委員長 ……今回のホテル建設問題での具体的な事業意義などについては、中間報告で述べておりますとおりでございますが、今一度確認をしていただきたいと思っております。……1、事業意義を……、2、運営についてはプロに任せ……、3、施設整備については第三セクターも含め……、4、施設規模については、調査を行ってきた百室を基本とすること、……5、完全独立採算性……以上でホテル建設問題についての報告を終わります。
 議長 これから質疑を行います。質疑はありませんか。(なしと叫ぶ者あり)
 議長 質疑を終ります。お諮りいたいます。ただいま、地域活性化対策調査特別委員長の報告にありましたホテル屋久島温泉の立て替えによる建設問題についてお手許に配付している意見書を議会の意見として町当局に対し、送付したと思いますが、ご異議ありませんか。(異議なしと叫ぶ者あり)
 議長 異議なしと認めます。……町当局に送付することを決定しました。
 このように、6月議会では、百室のホテル建設を促進する委員長の報告を受けて、町に対する同趣旨の意見書の提出を全会一致で決定しています。議会が「百室の大型ホテル」建設促進を決めたのは事実です。町長は、同じ議会で、特別委員会の報告を尊重して、関係各団体、地元の意見を聞いて計画をつくり、平成15年度から着工したいと答弁しています。
 議会が行った調査はどのようなものか。三菱総研とHPDコーポレーションが作った百室、37億円の豪華ホテル建設計画とどこがどう違うのか、町民に報告すべきでは。
 議会は「規模については、調査を行ってきた百室を基本とする」と決めましたが、かつて三菱総研が調査し、発表した計画とはどうちがうのでしょう。
 三菱総研の調査報告では、年間宿泊者が約6万人で、1泊が1万3千円と計算し、年間約11億円の売り上げがあり、その中から借金の返済も出来ると計算しています。
 しかし、現在の宿泊者が年間1万人余であったのが、一挙に6万人に増えるかどうか疑問です。しかも、宿泊費が1万3千円と高いホテルにそんなに沢山の人が泊るか疑問です。
 6月議会に尾之間区から出され採択された、「国民宿舎の再建に関する陳情書」には「これまで国民宿舎の存在、役割がいかに重要であったことか、改めて認識させられました。これまで国民宿舎の必要性について、低価格での宿泊、結婚式、大小宴会や催し物、温泉の利用など、多種多様に活用されていました。……」と国民宿舎の地域社会での位置づけが述べられていますが、営利本位の豪華ホテルでは地域の人々にとって、利用しにくいものになるのではないでしょうか。

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