馬毛島入会権確認訴訟の補足説明


 種子島の属島=馬毛島の開発を巡り、採石業者(馬毛島開発(株))が採石工事賛成派塰泊浦住民から「多数決決議」に基づき取得した土地について、同浦の採石工事反対派住民らが業者と賛成派住民らを相手に、共有入会権の確認を求めた差戻審が始まっています。
 平成14年から、業者が取得した土地は集落住民共有の入会地であるとして、反対派住民から業者・賛成派住民らに対し、多数決決議の無効を請求原因として入会権の確認を求めているものです。
 鹿児島地裁(第一審)と福岡高裁宮崎支部(第二審)はともに、「訴えは、集落住民全員が共同で起こす必要がある」として、原告の訴えを退けました。しかし、最高裁は今年7月、「入会集団の構成員のうち、訴えの提起に同調しない者がいる場合には、同調しない者を被告に加えて訴えを提起することも許される」として、原審(第二審)判決を破棄し、更に鹿地裁(第一審)判決を取り消し差し戻しました。その初めての弁論が当月21日に行われました。
 業者への売買譲渡を有効と考える被告住民らが、心を改めて反対派住民らと一緒になって、被告業者に対し共有入会地の確認を求めることなど常識で考えてもあり得ません。このことから、当該地裁判決及び高裁判決は、明らかに「非常識な判決」といえます。共有入会権とは「入会集団が有する所有権であると同時にその構成員各自が有する共同所有権である」というものです。そのような特殊な共同所有権を多数決で処分できないのは、民法(251条)上・憲法(29条)上当然と言えます。
 入会地は馬毛島葉山港に隣接した約2ヘクタールで、この土地を通過しないと島内に物資を搬入できません。同島は、在日米軍の再編成問題に絡み、米軍空母艦載機の離発着訓練施設の候補地として浮上しています。斯様な現状にて、子孫のために海を守り漁業を守ろうとする住民はどういうわけか少数派です。御支援・協力・連帯の程宜しくお願いします。

2008年11月27日 馬毛会鹿児島 牧 洋一郎

馬毛島の自然を守る会・屋久島   馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会