鹿児島県知事
伊藤 祐一郎 様

馬毛島の自然破壊と漁場への悪影響についての申し入れ


 私たち塰泊集落は太古から馬毛島近海での漁を生業としてきました。馬毛島の玄関口である葉山港に建つ石碑「馬毛島漁区記」によると、「西海三里、巨亀の背をあらわすが如きものを馬毛島となす。島の海は漁業に適し、しかして其の特権は三浦の人に属す。」と始まります。この三浦とは池田、州之崎、塰泊で、馬毛島の漁業権を世襲してしいた伝統のある漁業集落です。
 鎌倉時代にさかのぼる馬毛島のトビウオ漁ですが、現在では共同漁業権「熊共第2号」として種子島漁協の地先権が設置されています。主な漁業形態は、先のトビウオ漁の他、イセエビやモハミなどの磯建網漁、イカなどの一本釣り、ナガラメなどの貝類など多岐にわたり、馬毛島は大変優れた漁場でした。
 しかし、馬毛島の漁場環境は今大きく変化しています。平成11年に鹿児島県から許可された採石工事に始まる、様々な工事に起因する土砂の流出が原因と考えられます。それまで馬毛島近海では豪雨でもにごれ水が出ないほどに大変美しい海の環境が守られていました。
 現在、馬毛島では工事計画の予定もしくは、具体的に許可されている事業があるとは聞いておりません。しかし、連日複数の大型重機が稼動しているのが目撃されています。また、海の環境においても、海底には汚泥が溜まり漁ができない状況になっております。
 
 漁業を取り巻く環境は、燃料費の急激な高騰や漁業従事者の高齢化、温暖化による海の変化など、あまりに厳しい状況下にあります。私たち塰泊の漁師としては、次の世代も引き続き漁業を生業と出来る環境をぜひ守りたいと考えます。
 馬毛島においては、内陸部の環境破壊が海の環境悪化に直接影響します。計画性のない乱開発を防止し、不法な開発行為を許さないよう、県の行政指導強化を要望いたします。


平成20年7月29日

鹿児島県西之表市
塰泊漁業者有志

馬毛島の自然を守る会・屋久島