南日本新聞 2007年2月24日
防衛省「馬毛島、候補の一つ」/米軍機発着訓練移転案

 在日米軍再編に絡み、政府が米軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機の離着陸訓練場として、現在実施している硫黄島(東京都小笠原村)に代わり、馬毛島(西之表市)を検討していることについて、防衛省幹部は23日、「馬毛島は複数ある候補地の一つ」との見解を与党関係者に明らかにした。
 厚木基地の空母艦載機59機は2014年までに岩国飛行場(山口県)に移転することで日米で合意。複数の関係者によると、政府内では馬毛島のほか、岩国に近い瀬戸内海周辺や五島列島(長崎県)などが新たな訓練候補地に挙がっている。
 馬毛島のほとんどを所有する馬毛島開発(立石勲社長)は、同島で貨物専用飛行場を計画、昨年2月から伐採を進めている。約4000メートルの滑走路構想もあるという。
 日米が合意した米軍再編最終報告は「恒常的な空母艦載機の離発着訓練施設は、09年7月か、その後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする」としている。
 米軍は現在、硫黄島の滑走路を空母の甲板に見立てて訓練を実施。厚木基地の戦闘機が飛来し、滑走路に着陸して、瞬時に再上昇するタッチアンドゴーと呼ばれる離着陸訓練をしている。滑走路は長さ2650メートル、幅60メートル。
 訓練は1回当たり1週間程度で、年1、2回実施。訓練日数は03年度が計16日間、04年度が計14日間、05年度が計17日間。
 現在、硫黄島には自衛隊の給油施設があるため、米軍空中給油機は運用していない。米軍は今後、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)で空中給油機の訓練を計画しているため、馬毛島が空母艦載機の訓練場になった場合、空中給油機と併用し、離着陸訓練回数が現在より増える可能性がある。
 硫黄島には海上自衛隊約240人、航空自衛隊約110人が常駐。施設の保全管理のほか、小笠原諸島周辺で海難事故が発生した際、ヘリコプターを派遣して救難に当たっている。

馬毛島の自然を守る会・屋久島