南日本新聞 2001年7月20日
公害等調整委員会、市民らの訴え退ける

 西之表市の馬毛島で進行中の採石事業をめぐり、公害等調整委員会(平石次郎裁定委員長)は19日までに、同市の漁業浜田純男さん(46)らが求めていた採石事業認可処分取り消しの申し立てを退け、県の認可処分は適法と裁定した。
 浜田さんらは「(採石事業に伴う振動、騒音、流出土砂などで)漁業資源が荒らされる」と主張していたが、同委員会は「魚介類の生息が妨げられるほどの影響が出るとは認められない」と判断した。
 裁定に不服がある場合、申立人は裁定通知後、60日以内に東京高裁に裁定取り消しを求めて提訴できる。
 鹿児島県は昨年8月、馬毛島開発(立石勲社長)に、東沿岸部で年間134万トンの岩石採取を認可した。浜田さんらは昨年10月、公調委に裁定を申請。6月1日の審理終結後には、今年の梅雨時の現場状況などを証拠採用するよう求めたが、審理は再開されなかった。
 3月には、漁業資源への影響に加え、自然を享受する権利も侵害されるとして、鹿児島地裁に工事差し止めを求める仮処分を申し立て、審理が続いている。

馬毛島の自然を守る会・屋久島