南日本新聞 2000年8月25日
来年から採石跡地に港建設 馬毛島開発・立石社長が表明

 西之表市の無人島馬毛島の大半を所有する馬毛島開発(東京)に対し鹿児島県が採石事業を認可したことを受け、同市を訪れた立石勲社長は24日、南日本新聞の取材に対し、「来年早々に着手し、認可分の採石終了後は港を建設して本格的な採石事業展開を図りたい」と語った。産業廃棄物施設や使用済み核燃料の中間貯蔵施設誘致については「全く考えていない」と表明した。
 同社の計画によると、島の東南部の約9万7千平方メートル(付帯施設を含む)で採石事業を行い、年間53万6千立方メートル余の砂岩を採掘する。採掘した石は、今回の採石事業に伴う施設や道路などの建設骨材として利用し、島外には持ち出さないとしている。立石社長は「防災用の土手造成のほか、電気、水道などのインフラ整備などは年内から進めたい」と説明。「採石跡は3500トン級の船舶が着岸できる水深10メートルの港として活用し、採石を本格的に始め、建設骨材として東京都市圏に持っていきたい」と話した。
 最終的な採石面積は、島の3〜4%ほどで、30〜40年間にわたって事業を継続する計画だという。ただ、水路確保に岩礁破砕などが必要になるため、漁協とは漁業権補償など十分話し合いたいとしている。採石による環境汚染の不安については、「たまった雨水はきれいな上澄みだけ流す。ダイナマイトは使うが、最新の方法を導入するので、漁業資源やマゲジカには影響ない」と強調。「東京での事業の実績を示しながら、関係者に理解を求めていく」としている。
 一方、採石以外の事業として、マゲジカの種族保存の方法など研究したり、青少年の自然観察ゾーンなどへの取り組みも進める考え。「港は漁船などの避難港としても利用していただきたい。事業の展開で地元から50人規模の雇用も考えており、種子島発展に貢献したい」と語った。
 同社の計画に対して、種子島漁協の吉田専務は「過去提案されてきた港や桟橋建設計画は、漁業資源に被害が出る恐れがあるとして、組合員の総意として反対した。新たな提案があった場合でもいまのところ、反対の態度は変わらない」と話している。
 馬毛島は西之表市の西側12キロに位置し、島の面積はおよそ8.5平方キロで、98.5%を馬毛島開発が所有している。

馬毛島の自然を守る会・屋久島