1998年10月31日
小杉谷の安房川


1998年10月31日
小杉谷の安房川

御影石:花崗岩の俗称。神戸市東灘区の御影付近(六甲山麓)が産地として有名なので言う。花崗岩に似た深成岩についても言うことがある。
  花崗岩
英名:granite

 花崗岩は主に正長石、斜長石、石英、黒雲母の粒から出来ている。御影石(みかげいし)とも呼ばれ、建築、土木用材や墓石などに使われるが、屋久島のものは粒が粗いので石材としてはあまり良くない。左上の写真中央の白い大きな結晶が正長石、白い小さな粒が斜長石、灰色の粒が石英、黒い粒が黒雲母である。赤茶けている所は黒雲母に僅かに含まれている鉄分が酸化したもの。また花崗岩の斜長石にはカルシウムがたくさん含まれているため、屋久島のように雨の多い所ではカルシウム分が水に溶け出して風化するのが早い。

 屋久島の奥岳はすべて花崗岩で成り立っている。花崗岩は深成岩の一つで、地下深所でマグマがゆっくり冷え固まって出来る。花崗岩マグマは密度が小さく軽いため、少しずつ浮上してきて高い山になることが多い。ここでは地下12kmほどで出来始めた花崗岩が1年に約1mmずつ浮上し、1400万年で約14km浮上したため、2000m近い山のある現在の屋久島が出来上がったのだと考えられる。その時上にあった熊毛層群は押し退けられて低地に留まった。

深成岩:火成岩の一つで地下深所でマグマが冷却凝固して出来る。完全に結晶化し、粒状組織をなす。花崗岩、閃緑岩、閃長岩、斑糲(はんれい)岩などがある。深造岩。
 
1998年5月17日
高盤岳(1711m)山頂の豆腐岩


1998年8月9日
翁分れ付近の拳骨岩

 花崗岩は気温の変化による膨張、収縮や、染み込んだ水の凍結、膨張などによって割れることがある。上の2つの写真はそれぞれ面白い形に割れた花崗岩。

 花崗岩は塩基性成分が少なく珪酸分が多いため、風化しても植物にとっては貧栄養の土にしかならない。ただし屋久島には塩基性成分に富んだ火砕流なども堆積しているので、全体としては肥沃な土地になっている。

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