2000年11月にサイチョウ研究の第一人者、タイ国のピライ・プーンスワッド女史が屋久島に招かれ、サイチョウの生態と保護についてのスライド講演会が開かれました。それがきっかけとなり、今回のツアーが実施される運びとなりました。
ピライさんを屋久島に招いたことを始め、今回のツアーに当っても通訳及び添乗員として様々なご尽力をいただいた湯本貴和博士に対し、深く敬意を表し、お礼申し上げます。またピライさんの屋久島での講演会を企画され、今回のツアーでも代表者として取り纏めていただいた、画家であり、優れたエコツアーガイドでもある手塚賢至さんに対し、同じくお礼申し上げます。木下 大然 九拜
この旅行記は飽く迄も私の個人的な記録であり、私の観点により記したものです。
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5月28日
14時5分発JAC074便で屋久島空港から鹿児島空港へ。
5月28日〜29日
5人が合流し高速バスで鹿児島から大阪あべの橋へ。
5月29日
JR天王寺駅から関西国際空港へ。ここで8人が合流する。
10時発シンガポール航空(SQ973便)で関西国際空港からバンコク国際空港へ。シンガポールは自国に自信があるだけにスチュワーデスもきびきびしているように感じた。日本円は関西国際空港でUSドルに変え、更にバンコク国際空港でタイバーツに変えた。レートは1バーツ=3.06円位だ。
バンコクは晴れていて、日はまだ高かった。タイ時間は日本時間より2時間早い。空港には現地の旅行会社の人と通訳のラーさんが迎えに来ていた。市内のCENTURY
PARK HOTELに移動。後から2人到着して10人となる。
散歩がてら夕食を食べに行った。バンコクは大都会で交通量が非常に多く、空気も水も汚れている。途中で1kg25バーツのマンゴスチン〔オトギリソウ科〕の実を買った。マンゴスチンの実はフルーツの女王とも言われ、あっさりした甘味と酸味で美味しい。夕食を食べていたら象に乗った人が象の餌(バナナの実、サトウキビの茎)を売りに来た。帰りに30分20バーツでインターネットをした。
CENTURY PARK HOTELから見たバンコクの夜景
夜中に湯本さんが来て今回のツアー参加者11人全員が揃う。
5月30日
7時5分発アンダマン航空(2Y851便)でバンコク国際空港からナラティワ空港へ。ワゴン車が2台迎えに来ていた。タイ南部への旅行者は少ない。その理由は、マレーシアの影響を強く受ける南部は殆どがイスラム教徒であり、中にはタイから独立したいと考えている人たちがいてゲリラ化することもあり、危険だと思われているからである。しかし今回の旅では皆暖かく迎え入れてくれ、非常に親切だった。挨拶はイスラム教徒でも仏教的な合掌となっている。ちなみにタイでは決して目下の者に対して先に合掌してはならない。その者の寿命が縮まると言われているからである。また左手は不浄の手である。排便した後は紙を使わず、備え付けの桶に水を汲んで左手で洗浄するのである。私は以前からこの方式なので何の苦もなかった。
タイ南部は昔からゴムの産地として有名だ。至るところにゴム農園があり、幹に傷を付けて滲み出てきた樹液を、ココナッツの殻を半分にしたお椀で受けて集める。しかし天然林がどんどん伐採され、ゴム林へと移り変っていくのは寂しいことだ。私たちも日常的にゴムを消費し、それに加担しているのかと思うと心が痛む。
王室南離宮を見学。タイの国花Cassia
fistula〔マメ科〕、Bauhinia(ハカマカズラ)、ラタン(籐)〔ヤシ科〕、パンダナス〔タコノキ科〕、ホペア〔フタバガキ科〕、MORACEAE(パンノキ)、トーチジンジャー、オオシシラン、ビカクシダ、シマオオタニワタリなどの熱帯植物やキノボリトカゲ、インドオオリスなどを見た。 |
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王室南離宮
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Great Hornbill
(オオサイチョウ)
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Rhinoceros Hornbill
(サイチョウ♂)
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Rhinoceros Hornbill
(サイチョウ♀)
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ジャワマメジカ |
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タイ王立森林局の飼育栽培所を見学。ここは1985年、Srikit(シリキット)王妃のアイディアで、タイ南部の野生生物を繁殖させ野外に戻したり、違法に飼育されたり負傷した野生生物を保護する目的で設立された。ここには現在8種類のサイチョウ、ジャワマメジカ、ビントロングなどがいる。 |
ブドゥ・スンガイ・パディ国立公園内宿舎に移動。庭にウォータードラゴン(トカゲの一種)がいた。
夕食後、街で買ったドリアン〔パンヤ科〕の実を食べた。ドリアンの実は刺だらけで大人の頭ほどもあり、フルーツの王様とも言われる。独特な匂いが強いので人により好き嫌いが分れるが、私は案外美味しいと思った。買う時には匂いを嗅いで熟し具合を確かめるのがコツ。現地で買えば1個50バーツ前後だが、東京の千疋屋では8000円もするという。 |
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ウォータードラゴン |
ピライさんと湯本さん |
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5月31日
朝食後、5つのグループに分れて近くの山にサイチョウの巣を見に行った。私はピライさん、湯本さんと共にWreathed
Hornbill(シワコブサイチョウ)の巣を見に行った。木の枝と葉で作ったブラインド(野生動物の警戒を和らげるために人が隠れるもの)に入って8時から13時まで5時間待ったが、雄は警戒して巣に戻らず、雌と雛は一度も餌を貰えなかった。可愛そうなことをした。ブラインドの中には4cm位のサソリがいた。東南アジアの熱帯雨林特有のGibbon(テナガザル)の声がずっと聞こえていた。 |
夕方、地元でサイチョウの巣を守っている人たちと交流。ピライさんたちは1995年から、現地の人たちにサイチョウの密猟を止めるように促し、代りに巣を見張らせ無事に巣立ったら報酬を与えるようにしている。現在までに約150羽の雛が巣立った。警戒心の強い野鳥にとって巣に近付くことは決して良いことではないが、私たちがこうして観察ツアーをして地元の人たちと交流し、地元経済を潤わせることにより、地元の人たちがサイチョウを密猟するよりその巣を守る方がずっとプラスになるのだということに気付けば、それは巣に近付く欠点を補い上回るだけの価値があるだろう。
サイチョウの巣を守っている地元の人たちと交流 |
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滑空するヒヨケザル |
現地の人のサービスでココヤシの木から木へ飛び移るヒヨケザルを見せてもらった。サルと言っても霊長目ではなく、この仲間は一目一科一属二種しかいない世界でも稀な哺乳類である。ムササビの様に肢間に飛膜が発達していて木から木へ滑空する。また使役動物として飼育しているブタオザル(こちらは霊長目)に、ココヤシの実やミツバチの巣を採らせ、私たちに振舞ってくれた。
夜、25cmほどもあるトッケイ・ゲッコウ(ヤモリの一種)が部屋の網戸に張り付いていた。 |
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トッケイ・ゲッコウ |
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色々な種類のジンジャーの花 |
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6月1日
今日も5つのグループに分れて近くの山にサイチョウの巣を見に行った。私は湯本さんと共にHelmeted
Hornbill(オナガサイチョウ)を見に行った。午前中に雄が2回餌を持ってくるのが見られた。その後別の巣を見るために移動したが雄は来なかった。そこには今作ったばかりのブラインドがあったので、たぶんそれを作っている最中から警戒していたのだろう。 |
サイチョウの雄は、時々20cmほどもあるマンネンヒツヤスデと呼ばれる虫(倍脚類)を巣に運んでくる。餌にするためもあるが、ヤスデは沃素を含んでいるので消毒の効果があるからだと言う研究者もいる。しかしもしそうだとすれば、どうしてこのようなことを覚えたのか、神秘的な進化のなぞである。 |
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マンネンヒツヤスデ |
遠くでチェーンソーの音がずっと鳴り響いていた。森の木が違法に伐採され象を使って運びだされているのだという。サイチョウが巣を作るために必要な洞のある大きな木もどんどん伐採されているのだろう。タイの天然林は全て王室の所有物である。1989年から天然林を切ってはならないという法律が出来た。単作をやめ、有機農法に向けるのも国王の提案である。土地に数種の作物を植えることで単作のように特定の虫が大発生することを防ぎ、また養魚場を作ることで大きなダムを作らなくても貯水池となる。つまり農薬を使わず、資源を有効に利用することが出来るのである。
フタバガキの木からヤニが滲み出て固まっていた。ダマールと呼ばれ船の塗料などに使われるという。アリが入って固まっていたものもあった。ずっと未来の人が琥珀として珍重するのかも知れない。
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夕方、車でハラバラ野生生物ステーションに移動。たくさんのRhinoceros
Hornbill(サイチョウ)が餌を食べたり、塒に帰って行くのが良く見えた。東南アジア最大の木で高さ80mにもなるというコンパシア・エクセル(マメ科)の枝にLeaf
Monkey(コノハザル)がいた。
夕食後、ハラバラ植物園の園長さんたちがギターと歌で歓待してくれた。 |
6月2日
朝、スキンク(トカゲ)を食べたタイコブラが現地の人に首を切られて死んでいた。毒蛇も自然の一部だが、子供が咬まれると危ないので止むを得ず殺したということだ。
昨日と同じ場所でサイチョウ、ムジサイチョウなどを見る。White Handed Gibbon(シロテテナガザル)の声がずっと聞こえていた。Gibbonは霊長目の中でも人に近い類人猿である。家族単位で行動し、縄張を主張するために大きな声を出すのだという。早寝早起きで午後3時頃には寝てしまうという。
園長さんの案内でハラバラ植物園を見学する。一枚の葉が1m以上もあるディレニア(ビワモドキ)、いろいろな薬用植物、キノコなどを見ることが出来た。冬虫夏草のレプリカは非常に良く出来ていて面白かった。扇のような大きな葉のバーバーンスーン(タイ語)は高地にしかない貴重なヤシの仲間で、葉が幅1インチ当り50バーツもの高値で取り引きされるという。幅20インチ(約51cm)の葉で1,000バーツ(約3,060円)ということだ。 |
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ディレニア |
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バーバーンスーン |
ハラバラで昼食後、車でTHE
SIRINDHORN PEAT SWAMP FORESTに移動する。ここは国王の第3番目の子女であるSirindhorn(シリントーン)王女により20,100haの湿地林として保護されている。海から分離して出来たこの湿地は、PH4.5〜6という強酸性のため、その環境に適応出来る特異な植物が生え、その残骸が腐らずにピート(泥炭)となって積み重なっていった。ここは4,000年もかけて出来上がった貴重な湿地林である。以前タイには広大な湿地林があったが殆ど伐採され、現在残っている所は僅かである。一旦伐採されるとピートは乾燥し、火事を誘発し、二度と元には戻らない。インドネシアで起きた大火災がその例だ。泥炭林は非常にもろいのである。ちなみにSirindhorn王女は頭脳明晰で人徳もあり、タイ国民の人気は非常に高いと聞く。
大きなサゴヤシの前で
(湯本さんとガイド) |
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スタディーセンターで説明を受けた後、二人のガイドに湿地林を案内してもらった。ここに入った日本人は私たちが初めてであろう。入口の近くに3mはあろうかと思われるキングコブラが卵を大事に守っていた。これに咬まれて4分で死んだ例もあるという。しかし私は恐ろしさよりも感激して、思わず身を乗り出してシャッターを何度も切っていた。後で聞いたらガイドが呆れていたそうだ。他に大きな支柱根を持つニクズク(種子の仁をナツメッグと呼び香味料とする)の大木や、美しいMalaysian
Blue Flycatcher(マレーシアヒメアオヒタキ)、Purple-throated
Sunbirdなどの野鳥が見られた。 |
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キングコブラ |
ここは泥炭層を破壊しないように配慮し、散策するための木道が作られている。木は堅くて腐りにくい材を使用し、防腐剤は使用していない。10年経っているという所もあったがまだしっかりしていた。木道沿いの木の幹や根は切らずに木道に穴を開けて通し、木を生かしている。手に触れて自然を身近に感じることが出来るのも良い。屋久島の森でも是非見習って欲しい。 |
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自然に
配慮した木道 |
私たちを案内してくれたガイドも実に素晴しかった。そのガイドは「あなた方のようにゆっくり歩いた人たちは初めてだ。同じ道を10分位で通ってしまった人もいるが、ゆっくり歩くことでいろいろなものが見えてくるし、それはとても良いことだ。私もたくさんのことを学ばせてもらった。」と語った。実際私たちは2時間位かけて、じっくり楽しみながら湿地林を一周りした。 |
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海の近くの大きなレストラン(ナラティワ・タークバイ)で夕食。モモタマナの大きな木があった。この実は涙の形をしていて、沖縄では悲しみを象徴する木としてお墓に植えるそうだ。夕食後、車でブドゥ・スンガイ・パディ国立公園内宿舎に移動。
frog(カエル) |
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夜、宿舎の近くで世界で2番目に大きなfrog(カエル)とtoad(ヒキガエル)を探すツアーに出掛けた。いずれも川の近くで発見することができた。 |
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toad(ヒキガエル) |
6月3日
朝食後、車で近くの山に行き散策した。Monitor
Lizard(ミズオオトカゲ)の子供がたくさんいた。このトカゲは大きくなると2m位に成長する。その後、近くの田圃にスズメの仲間のハタオリドリを見に行った。背の高いヤシの木の上の方にたくさんの巣がぶら下がっていた。 |
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ハタオリドリの巣 |
宿舎に戻り、すぐ近くの滝に行って水浴びをする。アオスジアゲハによく似たチョウが水を飲みに集まっていた。近くに真赤な花のホウオウボクが咲いていた。 |
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車でナラティワ空港に移動し、14時45分発タイ航空(TG268便)でプーケット国際空港へ。ここでもワゴン車が2台迎えに来ていた。市内のTHAVORN
GRAND PLAZA HOTELに移動。
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夕食を食べに行くというので普通のレストランを想像していたのだが、行き先はPhuket
FantaSeaという歓楽街だった。食事はバイキング形式で多国籍料理が盛りだくさん。湯本さんが「これがタイ人の考える極楽なのか」と感心(?)していた。食後は象に乗ったり、土産を買ったりして楽しんだ。更に21時からは豪華なアトラクションショーを堪能した。 |
6月4日
ホテルで朝食を済ませ、車でBOAT
LAGOONに移動。途中、托鉢僧に地元の人が布施をする様子を見ることができた。タイの仏教徒は年収の約1割の布施をするという。さすが仏教大国である。もちろんBhumibol(プミポン)国王も敬虔な仏教徒である。国王はまた自然保護にも非常に熱心である。本来仏教は自然と共に歩んできたものであり、その自然と調和していくのは本来の目的でもあるはずだ。
タイ国民の各家庭には必ず国王の写真が飾られ、国王の写真入りのペンダントを肌身離さず持っている人もいるなど、その尊敬ぶりは絶大だ。ピライさんはそんなタイの王室とも深く関わりをもっている。 |
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クルーザーに乗って北上しマングローブ林の中を移動する。途中、海に面した壁画を見たり、水上都市を見たり、映画で使われJames
Bond Islandとして知られるKO TAPU(蟹島)を見る。また巣が中華料理の食材として有名なEdible-nest Swiftlet{ショクソウアナツバメ(食巣穴燕)}の保護区となっている島もあり、エコロケーション(音の反射により障害物等を確認する)の声がセミの声のように鳴り響いていた。 |
マングローブの
ニッパヤシ
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地元のカヌーツアー
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海に面した壁画
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水上都市
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KO TAPU
(蟹島)
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KO PHRAOで昼食。Asian
Glossy Starling(テリムクドリ)がヤシの木にたくさん巣を作っていた。浜でサキシマスオウの実やカブトガニの脱皮殻を見つけた。
KO KHAI NOKでスノーケリングをした。オヤビッチャ、イスズミ、ミツボシクロスズメダイ、セジロクマノミ、ツノダシ、ブダイやベラの仲間などがたくさん見られた。サンゴはかなり死んでいたが、これは数年前に起きたエルニーニョ現象によるものだという。悲しいことだ。
BOAT LAGOONに戻ってシャワーを浴び、夕食を食べに行った。海の近くだけに海産物が豊富だ。アカメの煮付け、焼いたガザミ、アカガイなどが食卓に並んだ。とにかくタイ料理は美味しい。湯本さんによればタイでダイエットするのは無理だという。それは彼の食べっぷりを見ても頷けるし、今までの美味しい料理づくしでも充分納得できる。ここで先に帰国する2人と別れる。
ホテルに戻り、近くの土産店に行って錫細工を買った。タイ南部は錫の産地としても知られ、美しい細工物が安く手に入る。
20時半からピライさん、湯本さん、手塚さんたちとHornbill
Research Fundationの支援団体を日本で立ち上げることについて話し合う。ピライさんは、「私たちは自然から奪い過ぎた。見返りを求めるのではなく、自然に対して償いをするつもりでサイチョウの里親になって欲しい。」と訴えた。当に仏教の布施の心をもって成すということである。現在里親は95人(タイ人75人、イギリス人2〜3人、日本人1人、他アメリカ人)である。サイチョウの巣を守る現地の人々に対し、サポートに必要な額は年間300万円に上る。支援団体についてはどのような形で進めていくか、これから日本で話し合っていく。事務局は今回のツアーに参加した屋久島のガイドが引き受けることになった。
6月5日
Ton-Sai Waterfallのある自然公園でバードウォッチングをする。Cinnamon
Bittern(リュウキュウヨシゴイ)、Greater
Green Leafbird(オオコノハドリ)、Blue-winged
Leafbird(アオバネコノハドリ)、Little
Spiderhunter(コクモカリドリ)、Scarlet-backed
Flowerpecker(セアカハナドリ)、Crested Serpent-eagle(カンムリワシ)などが見られた。また目の前をジャワマメジカが横切っていった。元々ここにはカササギサイチョウがいたが、密猟によりいなくなってしまった。現在再導入を検討しているが、餌や巣が充分に確保出来るか調査しようとしている。
土産店へ行き、海の中をディテール豊かに蝋纈(ろうけち)で描いた壁掛と手提を買った。蝋纈は日本にも伝わったが、発祥はインドである。タイ国民の90%以上が信仰している仏教もそうであるし、タイ語もインドのサンスクリット語、パーリ語が主な語源である。
ホテルに戻って昼食後、車でプーケット国際空港に行き、16時30分発タイ航空(TG643便)でバンコク国際空港へ。ここでピライさんたちと別れる。
バンコク国際空港内で最後の土産を買う。KO
PHRAOのレストランで使って気に入った、折り畳み式のコンパクトな坐椅子(兼ベッド)を2つ、また郵便局で国王や野生生物などを描いた記念切手を買った。 |
プミポン国王の記念切手
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サイチョウの記念切手
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ネコ科野獣の記念切手
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6月5日〜6日
別の便で帰る湯本さんと別れる。他8人は22時20分発シンガポール航空(SQ974便)で関西国際空港へ。
6月6日
私を含む4人は8時45分発ANK773便で関西国際空港から鹿児島空港へ。
私だけ13時発JAC074便で鹿児島空港から屋久島空港へ。
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お蔭様で無事帰国出来ました。タイは是非また行ってみたい国です。ピライさんを始めエコツアーガイドの皆さん、通訳のラーさん、現地の皆さん、本当に楽しい旅をありがとうございました。
木下 大然 九拜
今回のツアーに当って通訳及び添乗員として様々なご尽力をいただいた湯本貴和博士は、講談社BLUE
BACKS「屋久島」でもおなじみです。この本の中で博士は次のように書いています。そして、当に今回のタイの旅は、この思想に通ずるものがあったのだと思います。
屋久島にやってくる皆さんには、単に大型観光バスで島を一周するだけで帰ってほしくない。縄文杉や宮之浦岳山頂という目的地に急ぐだけの旅をしてほしくない。豊かな自然だけに目を奪われて、そこに住むひとたちのくらしをみないままで島を立ち去ってほしくない。そんな気持ちで書いたのが、この本である。
「屋久島」巨木の森と水の島の生態学
湯本貴和著 講談社 \820(税別) |
ゆもとたかかず
1959年、徳島県生れ。1987年、京都大学大学院理学研究科博士課程終了。神戸大学教養部助手、同大学理学部講師を経て、現在、京都大学生態学研究センター助教授。理学博士。10年以上も前から屋久島で植物と動物の相互関係の観察研究を続けて、そのうち延べ3年間は島に住み着いていた。現在はボルネオの熱帯雨林の林冠に研究のフィールドを移している。
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