2012年10月9日 鹿児島県鹿児島市犬迫町
オオスズメバチの捕獲
 ペットボトルにオオスズメバチが好む誘引液を入れ、木の枝等に下げておく。

 オオスズメバチが誘引液に来たら、釣竿の先に餌を付けてオオスズメバチの目の前に差し出す。

 オオスズメバチは作物に付く虫などを捕食するため、農業にも大きく貢献しており、また日本の昆虫の中では食物連鎖の頂点に位置するため、自然界の調和を保つ重要な役割を担っている。

 当会はその様なことを踏まえた上で捕獲を行っており、殺虫剤も一切使用していない。むしろ適切に捕獲をすることで、殺虫剤の無闇な使用を防ぐことができる。

 オオスズメバチが夢中になって餌を食べている隙に、その腰に軽いポリエチレン製紐を付ける。

 この紐は巣に戻るハチを見やすくするために付けるので、重すぎて飛べなくなっては無意味だが、飛ぶ速度が落ちて遠くからでも目立つようになる。

 紐を付けたオオスズメバチが餌を巣に持ち帰るのを追って巣の方向を確認する。

 次に紐を付けたハチを一旦かごに入れていろいろな場所から離し、巣の位置を特定していく。

 この時点では動きやすいように防護服を着ていないが、オオスズメバチは巣に近付いただけで攻撃をしてくるので、十分用心をしながら巣を探していく。この時の巣は山の中腹の大木の根元にあったが、山に入る時に訓練を積んだ犬を使役して巣を探し出した。防護服を着るまでは10メートル以内に近付かないことが肝心。

 巣から10メートル以上離れて防護服を着る。

 オオスズメバチの場合、その強力な毒は人を死に至らしめる危険性も高い。また興奮したハチは仲間を呼ぶために飛びながら毒液を撒き散らすが、これが目に入れば失明することもある。

 オオスズメバチは毒針が5〜7ミリメートルもあり、またとても強力なので、それを通さないしっかりとした防護服が必要となる。毒が目に入らないように顔面もガードしなければならない。同時に動きやすく、視野が広いことも重要だ。

 写真は手製の防護服を着る代表。

 巣を掘り出していく。本来は安全のため、成虫を先に全て捕獲してから巣を掘り出すが、ここは他に人がいない山中だったのでそのまま掘り出した。但し防護服が完全であることは必須条件である。

 巣盤から幼虫と蛹を取り出す。写真中央が幼虫、左下が蛹。

 食用にするため、幼虫の内臓を抜く(幼虫はいろいろな昆虫等を食べているため、内臓が苦いことがある)。

 蛹は内臓が綺麗になっているので抜く必要はない。

 一番搾りの菜種油で素揚げする。他にもいろいろな調理法があるが、素揚げは手間がかからず、素材の味をそのまま味わえるのでお奨めしたい。

 蛹の素揚げを盛り付けたところ。香ばしくてとても美味しい。

 「昆虫食」というと「げてもの料理」と思われるかも知れないが、昆虫はエビ、カニと同じ節足動物であり、日本でも古くから貴重な蛋白源としてイナゴ、スズメバチ類の幼虫、テッポウムシ(カミキリムシ類の幼虫)、ザザムシ(カワゲラ、トビゲラ類の幼虫)などが食されてきた。今でも長野県、岐阜県辺りでは普通に食卓に上る。むしろ肉食やファーストフードより自然に対してはずっと優しく、健康にも良い。

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