2010年11月3日 長野県上伊那郡飯島町
クロスズメバチ飼育箱
 クロスズメバチの飼育箱を見学しに長野県まで行った。ミツバチの飼育箱は下部に出入口を作るが、これは上部に出入口を作るのが特徴。

 長野県、岐阜県、栃木県では昔からクロスズメバチ類の幼虫、蛹を食べる習慣があり、それを採集するための「スガレ追い、ヘボ追い」という技法がある。まずは餌となる新鮮なイカ、ウグイ、カエル等の生肉を用意し、蜂がいそうな場所の木の枝に掛ける。蜂がやってきたら初めはそのまま餌を持ち帰らせ、次に来た時には5mm程度の小さな肉片に真綿を付けたものを手に持って差し出して持ち帰らせる。暗い森の中でも白い真綿はよく目立つので、それを見失わないようにひたすら追いかける。真綿の大きさを適度にすることと、その一方を糸状に撚って肉片に結び付け、蜂から綿が見えないように動かしながら与えるのがこつ。小説家、井伏鱒二の著作「スガレ追ひ」には、信州各地に実在した名人たちが何人も登場する。

 早い時期に見つけた巣は、まだ小さくて幼虫や蛹の数も少ない。それを自宅の庭などに連れてきて飼えば晩秋には大きな巣に成長するので、長野や岐阜ではそのような楽しみ方をする人も多い。大人になってからでもこのように自然相手に戯れることができる自然環境は、大切に残して後世に伝えていきたい。

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